市貝町は、県都宇都宮から東へ約24kmに位置しています。中部から北部にかけて、谷津田が広がります。谷津田とは谷状の地形にある田んぼで水田や林の入り組んだ里地里山の代表な景観の一つと知られており、多様な生物が生息する場所でもあります。市貝町は谷津田を核とする里地里山において古くから農林業が営まれ、独自の美しい景観、豊かな生態系、地域文化などが育まれてきました。サシバの里の由来でもあるサシバは、里山に営巣して子育てをしています。サシバは、タカの仲間で、春から夏にかけて日本に繁殖にやってくる絶滅危惧種の渡り鳥です。サシバが多く飛来し営巣することは、里地里山の自然環境が良好であることを意味しています。
谷津田を核とする里地里山を基盤とした市貝町は自然と調和した農業が営まれており、有機農業に適した土壌が広がっています。
有機農業により、植物や昆虫の多様性が保たれ、深水管理によりカエル類にとっても好ましい環境が維持されます。増えたカエル類はサシバにとって重要なエサとなり、サシバの里を支えることになります。
市貝町の全小中学校を対象に、年数回「市貝町産有機野菜給食の日」を設け、その回数を年々増やしています。給食を通じて家庭でも有機農業への関心を高めたいと考えています。
児童・生徒の食育の推進を図ることを目的に、学校給食で使用するお米は町で全量買い上げ、令和5年4月から提供しています。お米は農薬や化学肥料を減らした町内産の特別栽培米をを中心に、一部その他町内産のお米や、アグリ体験米(町内の小学5年生が田植えや稲刈りなどに携わって生産されたお米)を提供しており、段階的に有機栽培米へと切り替えていく予定です。 児童・生徒には様々な経験を通じて「食」に関する知識や「食」を選択する力を習得し、子どもたちが一生涯にわたって健やかに生きていくことができるよう、その基礎をつくっていきたいと考えています。
市貝町では美しい田んぼや畑の風景は農家の営みで守られています。
美しい田園風景を未来に繋ぐことを目的とした新規就農者の為の手厚い支援制度(地域おこし協力隊)もスタートしています。
地域おこし協力隊任期終了後に農業法人に就職、もしくは農業経営者として独立できるよう、農家の下で本気で農業を学んでいただきます。
また、新たに農業を始めたいという新規就農者向けに町内でも比較的優良な農地の紹介をしています。